「……っ、ぐ……ぅう……っあ……はぁっ、ぁ!」

痛みと、苦しみと、憎しみ。

男の汚らしいものが突き込まれる度、

詰まった息と共に全てが喉から漏れ出る。

「まったく、詠は悪い子だなぁ。
 学校から帰ってきたら、父親にまずは挨拶。
 幼稚園で習っただろう?」

「ろくでなしの、クソ親父が……。
 教育を、語るんだ……?」

「…………」

「ぐあっ、くっ……!」

「ん~、いけないなぁ。
 父親に向かってそんな口の利き方をしちゃあ」

怒ると言うことは、

父親としてのプライドでも持っているのだろうか?

……まさか。

コイツに限って、そんなことはあるわけない。

「しかし、相変わらず面白みのない娘だなぁ。
 良いのは身体だけじゃねぇか」

長いストロークが行き交うたびに、

身体の内側から抗えない熱が滲み出る。

「くっ……つまらないって言うんなら……ふぐっ、ぐ……、
 ひょこひょこ腰振るな……この、短小っ!」

「あ~、だめだろぉ?口から出すなら
 よがり声だって……ねっ!」

「いぎっ……っ、ひぁっ!」

必死の強がりも、全身を揺さぶる衝撃にはじけ飛ぶ。

一際大きくなる粘着質の汚らしい音。

それに否応なく私は興奮させられてしまう。

「……うっ、ぐうっんっ!くっうっ、うぁ!
 うっ、ふぐっくぅうっ……、うああっ!」

【詠】




【父親】


【詠】


【父親】

【詠】

【父親】





【父親】



【詠】


【父親】

【詠】




【詠】

「キヒヒヒ。そうそう、出すならそういうかわいい声だよ」

図星をつかれたからって、やることが力任せだなんて。

本当に、ゴミクズみたいな男。

……だけどそんなことで喘いでしまう私の身体の方が、

よっぽど惨めに思える。

「どうだい、気持ち良くなってきただろう?
 知っているよ、詠は力任せにされると、
 肉穴をぎゅうぎゅう締めつけずにはいられないからなぁ」

「ふはっ、はっぐっ……う、うるさいっ!
 ンッ……んぅ、んぁっ、あっあっあっ、あぐぅ!」

どうしてなんだろう?

あいつが果てるまで耐えていれば、それで済む話なのに。

どうして私の身体はこうなるんだろうか。

「今日は母さんがパートでいないからねぇ。
 我慢しなくていいんだぞ?ほら、ほらほらぁ!」

「ひあっ、あうっ、んっ、んっんっんうぅぅぅっ!」

普段以上に遠慮なく、腰が揺すられている。

結合部で水音混じりの肌を打ちあう音が高鳴り、

腹の裏側を抉られる感覚に、私の理性は薄れてしまう。

「こんなもので、私っ……!」

性器が傷つかないように汚らわしい汁が出るのだって、

痛みを快感にすり替えようとするのだって、みんなそうだ。

私の意思を無視して身体が勝手にやっているだけ。

こんな男のモノでよがるくらいなら、

痛みに苦しみぬいて死んだ方がよっぽどマシだというのに。

「あ~~~っ、いいっ!
 詠のキツキツマンコは最高だぞ!」

「だったら、うっ……さっさと、射精せばいいでしょっ!」

「ん~、相変わらず口汚いなぁ。
 抱かれている時は、もっと女の子らしく媚びないと。
 仕方ないから父さんが身体に教え込んであげよう、ねっ」

「んぁっ! あっ~~~くっ、うんんん~~~っ!
 っ……んはっ、あっ……やめ、ろ……ひっ!んんっ!」

腰の動きを止めないまま、

ざらざらとした汚らしい指がクリトリスを擦るたび、

顎が勝手に跳ねあがってしまう。

「キヒヒ……そうそう、その反応だよ。
 最初からそうしておけばいいんだ」

「うくっ……くぅ、ン!ふ、あ……ああっあっんあぁっ!」

せめてもの抵抗とばかりに声を押し殺そうとしたが、

それすらも私にはできなかった。

クソ親父が浮かべる下卑た笑みが、滲んでいく。

【父親】




【父親】


【詠】





【父親】

【詠】




【詠】






【父親】

【詠】

【父親】


【詠】





【父親】

【詠】

「おやおや、気持ち良すぎて涙が出てきたかい?」

「そんな、わけ……ないっ!んく、ふっ、うぅ……!」

「キヒヒヒッ!かわいい娘だよお前は。
 せっかくだ、このまま一度イってしまえ」

「ひぎっ……だ、誰が……イ、イってたまるもん……かっ、
 ……はぅ、ンッ!うあっ、ああっあっ!」

反発しようにも、ペニスが与えてくる快感の前に、

私は無力だった。

胸を乱暴に揉みしだかれながらの激しいピストンに、

強制的に昂らされた私は甘ったるい断続的な吐息を漏らす。

「はうっ!ぐっ、うぁっ!あっあっああっ!あっんぁ!
 あっ……やあぁっ!」

全身が引きつった瞬間、クソ親父のペニスが

私の1番深いところまで抉り込み――

「んんっくぅ、ふああぁあぁぁぁぁぁっっっ!!」

意思を無視した絶頂に、頭を真っ白にさせられる。

【父親】

【詠】

【父親】

【詠】






【詠】




【詠】

「あうっ!うっ、あっ……!あっああぁぁ……!」

「キヒヒヒ。身体をびくびく痙攣させて、
 そんなに良かったのかい?」

「ふぁ……ああっ……はぁ、あっ……。
 そんなんじゃ、ないっ……!」

「そんな嘘をつかなくてもいいんだぞ、詠ぃ。
 マンコが最高に締めつけてきてるぞぉ」

「ちがう……ちがうちがうちがうっ!」

自分を言い聞かせるように叫んでも、

虚しさばかりが募っていく。

こんなの誰も望んじゃいないのに、

どこかで満ち足りたものを感じてしまっている自分が、

本当にイヤだ。

「素直に父さんのチンポは最高と言って良いんだぞ?
 キヒヒヒッ」

涙が筋を作った私の頬へと、

ナメクジのような舌が伸ばされて、

べろりと舐め上げた。

おぞましさと悔しさ、そして情けなさに、

目から雫がとめどなく零れ落ちていく。

それなのに絶頂の余韻で全身は甘く痙攣を繰り返していた。

心なんてもう随分前から死んで朽ちて

カラカラに乾いているというのに、

身体ばかりが生きているという事実から逃げられない。

「ほら、何をぐったりしているんだい?
 自分ばかりイって終わりのはずがないだろう?
 今度は父さんをイかせないと」

「ううっ、あっ!あっ、ああんっ、あっああっ!」

絶頂を迎えたばかりで敏感になっている私は、

ペニスの感触によがらずにはいられなかった。

「やだっ!あっ、ううっ、やめてっ、ンぅ、んあ……っ!
 イ、イくっ……また、イっちゃう!やだやだぁっ!」

「いやじゃないだろう?父さんと一緒にイけるんだ。
 嬉しく思わないとダメだよぉ」

「嬉しくなんてないっ……!こんなのっ、あぐっ、うっ!
 ……ひぁっ!ああぅっ、そんな奥……、んんっ!」

こつんこつんと子宮を小突かれる快感に、

一旦は鎮まりかけた熱が蘇り、

うねりとなって全身にいきわたる。

「ふはぁっ、はぁっ、いいぞ!いいぞぉ!」

「んっ、ひぁっ!あっ、くぅんっ、んっ、んっんんぁっ!」

「ふひっ、ひっ、ぐっ……い、イくぞ、詠!
 んぐっ、ぐっ、くふぅっ!」

「うううあっ!あっ!んあっ、はっ!
 やあっ、あっ、強……っ!こんなの、こんなのぉ!」

クソ親父のムチャクチャな腰の動きに、

出したくも無い快楽の声が漏れてしまう。

【詠】

【父親】

【詠】


【父親】

【詠】






【父親】










【父親】


【詠】



【詠】


【父親】

【詠】





【父親】

【詠】

【父親】

【詠】

「あひっ、イっ、イくっ!うっ……あうぅっ、んんっ!
 んっ、んんん~~~~っ、んっ、んんぅっっ!」1

「ぐううっ、ぬ、ぐっ!イ……イく、ぞぉっ!詠ぃ!
 んんぐおおおおおぉぉぉっっっっ!!」

私の中で膨張しきったペニスが再び最奥に叩きつけられ―――

「ンはっ、んああぁぁぁぁっっっ!!」

びゅっ!びゅぐるっ!びゅるるびゅるるるっ!

「あひっ、やっ、ああっ、イっひゃうぅぅぅぅぅぅぅっ!」

ゴムの先にある子宮の壁を精液で叩かれた瞬間、

私は耐えられずに全身を跳ね上げた。

「うあ……あっ、あっ、あうっ……」

同時にペニスも何度か大きく震え、

その度に引き摺られた私は痙攣する。

「ふぅ、ふぅ、ふぅ……くふぅ~~~~。
 良かったぞぉ。キヒッ、ヒヒッ」

自分の衝動が鎮まった途端、

クソ親父は私を無視して立ち上がる。

萎えて小さくなったペニスは、

使用済みのゴムを私の中に残したまま引き抜かれた。

「本当に、最高のオナホールだよ。お前は」

そんなこと気にした様子もなく、

いつものようにぞんざいにティッシュで汚れを拭くと、

クソ親父は部屋を出て行った。

静かになった部屋に、私の荒い息だけが響く。

セックスに浮かされた身体とは反対に、

心の熱はすーっと下がり、抜け出すような感覚を覚える。

乖離した心は、クソ親父に組み敷かれている自分の姿を

冷たく見下ろしているような、そんな不思議な気分だった。

「……はぁ」

なんで。なんで、どうして。

私は生きているんだろう?

恐怖に屈して逆らえないまま、

クソ親父に好き勝手される惨めな自分へと、

幾度となく繰り返してきた空虚な自問自答。

もちろん答えなんてありはしない。

【詠】


【父親】


【詠】


【詠】



【詠】



【父親】





【父親】








【詠】

「……こんな現実、全部なくなっちゃえばいいのに」

『―――そのサイトにアクセスしてお願い事を伝えると、
 なんでも叶うらしいの』

空っぽの心の中に、歌音の言葉が蘇る。

今日の下校時に教えてくれた、くだらない噂。

よくある都市伝説。

「願いが叶う、サイト……か」

もし、本当にそんなものがあるならば、

私は全てを捧げるだろう。命だって、惜しくはない。

あのビチグソ親父や、狂った母親から解放されるのなら。

最低最悪の今より良くなるのなら、私は―――

「…………」

分かっている。

そんなこと、ありえないって。

願うだけで望みが叶うと言うのなら、

クソ親父は何度死んだか分からない。

助けを求めれば護ってくれるなんていうのは、

頭が花畑の人間が口にする夢物語にすぎない。

傷だらけの私を見た人達は、みな例外なく

狂った父母、そして私自身からも目を背けた。

自分の平和を乱しかねない汚物には蓋をして、

ニオイすら封じてしまうのだ。

私の身体に染みついたこのおぞましい性臭に、

本当は気づかないはずなんて無いのに……。

私は起き上がることなく天井を見上げていた。

そこには、何もない。

全身にまとわりつく気だるさが、

起き上がることどころか、

手を伸ばす気力すら食らいつくす。

できることと言えば。

「……は、はは。あははははははは」

ただこうして、

涙を流しながら笑うだけだ。

【詠】






【詠】





【詠】



















【詠】

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